暴言を吐く心

 

今年はコロナウィルスの出現によって、行動に制限がかかり、今までなら可能だった《ストレス発散》ができなくなる事で、身近な人にストレスをぶつけてしまう方も増えていると思います。 

過度にイライラしていた事に気付いて、自分から誠意をもって謝ることができれば、大抵の関係は修復はできるでしょうが、

親子関係などでありがちな《しつけ》と称した状況での行き過ぎた暴言は、親が《しつけ》だと思い込んでしまうだけに、

日常的に繰り返されてしまいがちです。

 

 

幾度となく繰り返された暴言の威力は強烈ですから

簡単に修復できない心の傷になってしまいまいます。

 

『お前はどうせ何をやってもダメなんだ』

『アンタなんか生まなきゃよかった』

『消えて』

 

このような類の言葉です。

 

 

『言ってはいけないと分かっているのに言ってしまう』

『言い出すと止まらない』

 

暴言レベルの言葉を吐き出してしまう場合、

ほとんどの方は暴言になるとわかっているのに言わずにはいられないような心の状態なのです。

 

親子の場合、

親の方はそんな自分に嫌悪しながらも

暴言の原因を子供のせいにしたくなります。

 

『だってあの子があんな事するから…』

 

確かに、子供の行動がきっかけと言えなくもありません。状況によっては、なかなか理性を保てない事もあるでしょう。

ただ、暴言は心に閉じ込めた負の感情

他者にぶちまけている行為ですから子供が原因ではありません。

むしろ親の側が弱者である子供を

感情のはけ口にしている依存行為です。

 

ですので暴言を吐いてしまう自分は置いておいて子供の方を変えよう(いい子に矯正しよう)とするのは視点がずれていますよね。

 

 

暴言を吐いてしまう親の側に必要なのは、先程記した心に閉じ込めた負の感情がとても大きくなってしまっている事を受け入れ、子供の動向に向けていた意識を自分の心の方へ方向転換してみる事です。

 

 

 

暴言レベルの酷い言葉を使ってしまうのは、

自分を信じられなくなった心が自暴自棄になっているからです。

 

愛されたいと思った心が幾度も裏切られると、心は勘違いをしてしまいます。

 

その勘違いというのは

『自分は愛されない存在なのではないか?』

という自己不信感です。

 

その不信感がとても強い心の状態で

子育てのように愛情が不可欠なコミュニケーションをするにはどうしても無理をしています。

自己不信感をそれ以上大きくしないためにも

"ちゃんと”子育てしなければ、と自分を律します。それは愛情というよりも自分に課した義務なので幸福感よりも、

ストレスの方を強く感じてしまいます。

 

無理を続け、疲れ切った心の状態では

子どもに対して理想的なコミュニケーションができるはずもなく、自分への不信感は一層強くなります。

そんな日々を繰り返すと、やがて心はやけを起こします。

 

『どうせ私なんかに無理なんだ!』

『誰も私の気持ちなんてわかってくれない!』

 

このように不信感が増大した心は

自分をダメな存在だと否定してしまいます。

 

『私は人から愛されないんじゃないか?と不安に思ってたけれど

子供をちゃんと愛する事もできないダメな人間なんだ』

 

こんな風に、自分の事を

《人から愛されないし、人を愛せない存在》

と思い込むのです。

強い自己否定感を感じる心は当然のことながら常にストレスにさらされています。

 

無意識であっても自分自身から存在を否定され続けているのです。

そんな心はきっかけがあればやけになっている本音を表現したくなります。

それが暴言として出てきているものです。

 

『アンタなんか生まなきゃよかった』

(だって私には子育てなんて無理なんだよ)

 (私が親じゃアンタも嫌でしょ?!)

 

『消えて』

(こんなはずじゃなかった、過去を消してしまいたい)

 

暴言を吐いてしまっている時、原因は子供にあると思い込んでいるので

自分の心の本音にはなかなか気づけませんが

実は子供を攻撃しているだけでなく、

同時に心の奥では自分を否定し続けているのです。

 

その時の子供の心は、自分に向けられた言葉として受け取りますので

当然ながら深く傷き、次第に自分の存在価値を疑います。

繰り返される親の態度によって《親から否定され続ける自分》であることを実感し、

自己否定を増殖してしまいます。

 

 

これは一般的に負の連鎖と表現される流れですが

その連鎖の根本は、前述したような

親の心が強い自己否定を抱えた状態で子と関わった行動が起因となり、子の心にも強い自己否定が連鎖し、

その子が他者との関係性において親と同じような状態で関わってしまう事です。

 

 

ですので、過去に人から暴言を受けたことがある方はもうお気付きかと思いますが、

あなたがしたことは受けた暴言レベルのことではなく、あなたが自己否定するような事ではありません。

 

 

決して愛されない存在という事ではなく、他者の感情表現の仕方が間違っていたことで

あなたの心が誤解してしまったのです。

 

 

 

 

もし、現在のあなたが弱い立場の人に向けて暴言を吐いてしまうのであれば、

あなたの心の奥の本当の気持ちに向き合ってみて下さい。

 

強い言葉で責めてしまうのは、相手のせいではなく、

自分を否定し続けているがゆえの心の暴走かもしれないと、いう事を一度考えてみて下さい。

 

 

本当の自分の心の状態を知ろうと意識すること

 この意識だけでも、心はちゃんとそのあなたの姿勢を感じ取ります。

自暴自棄になって傷ついてしまった心との信頼関係でさえも

築き直すきっかけとなる事でしょう。

 

 

 

  2020 / 7 / 23      kyoko